DMゼロを目指して

目次

これから私たちが出来る事

現在、W.コーギーでDMの因子を持った個体は9割と言われています。
一方、G.シェパードはそこまで蔓延している印象はまだないとは言え、このままの状況を放置して無作為な繁殖を続けていれば、いつ同じような状況になってもおかしくないと思われます。
健全なG.シェパードを残していくためにも、少しでも早く意識の向上、検査の一般化を進めたい、今ならまだ間に合う、と思うのです。

現実的には、まだまだその知識はほとんど知られておらず、「病気の名前だけは聞いた事があるけれど。。。」という人さえも、ほんの一部に限られています。

簡単に説明すると、陽性の子犬を出さない組合わせでの繁殖をすることができるということです。
DMの撲滅だけを考えればクリア同士の繁殖が理想ですが、G.シェパードは犬種特有の病気がたくさんあります。
そのことで、犬種の遺伝的多様性が極端に狭まってしまい、他の病気のリスクが多く発生する事にも繋がってしまう可能性があります。
繁殖前の検査結果で陽性やキャリアが出た場合は、必ず陰性を相手に選んでください。

遺伝子の組み合わせ表↓
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個体検査の重要性

そして、もう一つ認識して頂きたい事は、両親が共にクリア(ノーマル犬)でない限り、産み出される仔犬たちは 【それぞれ個別の遺伝子を持っている】という事です。例えば、10頭産まれた仔犬のうち1頭を検査した結果がクリアだったとしても、それはあくまでも「その犬自身」がクリアだという事実であり、 残る9頭および両親犬がクリアである証明にはなりません。
つまり、両親犬の遺伝子が分からない限り、残る9頭の中にアフェクテッド(陽性)が出る可能性も十分あるという事なのです。

シェパードの未来からDMをなくしたい

繁殖犬の未検査による遺伝子の拡散は、大変危険です。
例えば、人気のオス犬が未検査のまま繁殖を続けた場合、万が一、そのオス犬が変異遺伝子を持っていたとしたら、瞬く間に変異遺伝子を持った命が産み出され、そのループを断ち切る事は容易ではありません。
未検査犬による繁殖は、非常にハイリスクなのです。

残念ながら、シェパードはDM以外でも遺伝的疾患を発症する割合が多い犬種だと感じます。
それでも、少なくともDMは私たち人間が努力することによってその重荷を犬に負わせずに済む可能性が高いのです。

野生動物のような、自然淘汰という厳しい環境による遺伝子継承とは異なり、シェパードの場合は、私たち人間の手による意図的な繁殖によって遺伝子が継承されてきたという歴史があります。
人の手を加える以上、未来の命のために、遺伝病についても常に私たちが学び続けていかなければ、と思います。